いっそのこと新卒採用を辞めてしまおうかという話にもなりかねない。何も知らない新卒を採ってゼロから育てても、戦力になったそばから他社に行ってしまうのであれば、企業としては丸損である。であればその分、コストをかけて中途採用で使える人だけを採ったほうがよいのではないか。即戦力重視、ドライな人の入れ換え。一部ではすでにそういったムードも出てきている。その気持ちはわからないでもないが、果たしてそれは正しいことなのだろうか。
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人材育成に対する「企業の社会的責任」論はひとまず措く。しかし企業の成長にとって、新卒採用とその育成を放棄することは本当に正しい選択なのだろうか。企業は人を育成せずにやっていけるものなのだろうか。この点について私は非常に懐疑的だ。仮に「三年三割」という現実があるとしても、それをネガティブな側面でのみ捉え、マイナス思考で対応するのは賢明とは言えない。「三年三割」という現実はけっして単に「最近の若者はだらしがない」からでもないし、単に「会社や上司に不満」だからというわけでもない。そこには大きな時代の変化、社会の変化が投影している。そのことをしっかりと認識し、その変化に見合った適切な対応をとることで、若者を育てて戦力化することこそが企業の長期的利益につながると考えるべきである。そのためには、まず「三年三割」現象が発生するメカニズムをよく知ることが必要だ。なぜそのような状況が起きるのか。その背景にはどんな流れの変化があるのか、そのことを解き明かしていきたい。